2023.08.20
栗の木を植える時期は?成長過程や植え方・育て方、収穫方法を解説!
こんにちは!岐阜県で季節の素材を使った創作菓子を販売する「恵那川上屋」です。
栗は、和菓子によく使われる果樹のひとつ。
日本では茨城県、熊本県、愛媛県、岐阜県などを中心に栽培されており、丹波栗や恵那栗などのブランド栗も有名です。
そんな栗は、木を植えてから収穫までに数年を要します。
実のなる立派な木に育てるためには、長い時間をかけてしっかりと管理を行わなければなりません。
では、栗は具体的にどのような方法で栽培すれば良いのでしょうか。
今回は、当店恵那川上屋のお菓子にも欠かせない栗について、植える時期や育て方など、東美濃地方の栽培方法も例に出しながら詳しくご紹介します。
栗の木を植える時期や品種の選び方、成長過程をご紹介!
まずは、栗の木を植える時期の目安や品種、成長過程について確認していきましょう。
栗の木の植え付けに適した時期はいつ?
栗の苗木の植え付けに適した時期は11〜12月頃といわれていますが、3月までの間に植え付けを行うケースもあります(厳冬期を除く)。
一般的には、春植えだと養分が吸収しにくかったり、根が発達しにくいことが多いため、秋に植える方が適しているといわれています。
ただし、雪が多い・寒さが厳しいエリアに関しては3月頃に行うのが良いでしょう。
栗の木の選び方は?
世界の栗の種類は、大きく分けて下記の4種類があります。
- ニホングリ
- チュウゴクグリ
- ヨーロッパグリ
- アメリカグリ
このうち、日本で栽培されている大部分はニホングリです。
その他の外国種は、日本の気候では育成が困難で、ほとんど栽培されていません。
一言にニホングリといっても、その種類はさまざま。
例えば、8月〜9月上旬頃から早くに収穫できる早生種であれば森早生(もりわせ)、ぽろすけ、丹沢(たんざわ)、9月頃の中間時期に収穫できる中生種であれば、ぽろたん、筑波(つくば)、出雲(いずも)、10月上旬〜中旬まで収穫できる晩生種であれば、銀寄(ぎんよせ)、岸根(がんね)、石鎚(いしづち)、などがあります。
収穫時期だけでなく、味や食感も品種によって異なるので、ニーズに合わせて選びましょう。
また、栗にはクリタマバチという天敵がいます。
駆除が難しく、栗の発育に大きな悪影響をあたえる害虫です。
被害を防ぐためには、剪定管理を行って樹勢を強く保ったり、適切な圃場管理などが必要です。
栗の種類と特徴については「代表的な栗の種類は何?それぞれの特徴とおすすめの食べ方」でもご紹介しています。
栗の詳しい品種の特徴も以下のコラムでお伝えしていますので、選ぶ際の参考にしてくださいね。
栗の品種「丹沢(たんざわ)栗」の特徴は?旬や味わいから選び方まで詳しく
栗の品種「筑波(つくば)栗」の特徴は?旬や味わい、選び方まで詳しく
画期的な栗「ぽろたん」の特徴とは?誕生の歴史や食べ方も解説!
栗の品種「銀寄(ぎんよせ)栗」の特徴は?旬や味わいから選び方まで詳しく
栗の木の成長過程もチェック
栗の木を植えたら、どのくらいで寿命を迎えるのか、どんな風に成長していくかも気になりますよね。
ニホングリの栽培栗は50年ほどすると実が付かなくなってくるといわれています。
そんな栗の木の成長過程は、大きく次の4つに分かれます。
- 幼木期
- 若木期
- 成木期(盛果期)
- 老木期
各成長過程の特徴を見ていきましょう。
幼木期
幼木期とは、樹齢2〜3年にあたる時期のこと。
この時期の栗の木は、枝や根がよく伸び、栄養生長が盛んです。
木の骨格が形成される時期でもあるため、注意深く剪定を行っていく必要があります。
若木期
若木期とは、樹齢4〜8年にあたる時期のこと。
この時期には、栗の木は花芽をつくり、花を咲かせ、実をつけます。
実をつける量(結実量)は、年々多くなっていきます。
栗の花や花言葉については「栗の花言葉は?花言葉の由来や栗の種類も紹介! 」でも詳しくご紹介していますので、読んでみてくださいね。
また、幼木期に比べ枝の伸びは鈍化するのも若木期の特徴です。
それまで上へ上へと伸びていた枝は、下へ垂れやすくなっていきます。
成木期(盛果期)
成木期(盛果期)とは、若木期以降〜樹齢20年前後までの時期のこと。
この時期には、若木期から増えてきた実の収穫量が安定します。
成木期は、環境の影響を受けやすいのが特徴。
良い環境では成木期が長く維持されるものの、不適切な環境では成木期が短くなり、早く老木期に入ってしまうこともあります。
そのため、木と木の密度や害虫など、環境整備には特に気を配らなければなりません。
老木期
樹齢20年以上の時期を老木期といいます。
ただし、環境によって成木期の長さは異なるため、一概には言えません。
老木期には、花芽の着生は多くなるものの、生理落果や隔年結果が多くなり、実収穫量は減少していきます。
枝も伸びにくくなり、栗の木はやがて寿命を迎えます。
ちなみに東美濃地方では、7〜14年目を「成木前期」、15年目以降を「成木後期」と呼んでいます。
栗の木の植え付け方や植えた後の管理・収穫方法は?
ここからは、栗の木の植え付け方とその後の管理方法や収穫についてご説明しましょう。
栗の木の植え付け方とポイントをご紹介
栗の木の植え付けは、まず前提として日当たり・風通し・水はけの良い場所を選びましょう。
そのほかのポイントについても、ご紹介していきます。
植え穴の開け方と植え付け方
栗の木は庭植えまたは鉢植えですが、庭植えの場合、できるだけ耕土を深く耕すところからスタートします(深耕)。
直径は80~100㎝、深さは50~90㎝を目安に、植え穴を大きく開けましょう。
根から耕盤までが近く窮屈だと、養分を吸収しにくいため、なるべく深く耕すことがポイントになります。
植え穴の中には、元肥としてたっぷりの肥料を混ぜ込み、栄養分のある土を入れます。
穴の中央部に土を盛り上げたあと、根を放射状に広げるようにして植え付け、直後に高さ50cm~60cmのところで枝を切り詰めます。
また、根腐れを起こさないように水はけを良くすることも大事です。
安定しなければ支柱を立て、水はけが良くないようであれば、高めに畝(うね:細長く直線状に幾筋も土を盛りあげること)を作ってから植え付けを行うのも良いでしょう。
注意点として栗はひとつの品種だけでは受粉しにくく、結実しにくい特徴があります。
そのため、実を収穫するには、植えた苗木に花粉が飛散する範囲に、異なる品種を2種以上植える必要があることも覚えておきましょう。
肥料のポイント
庭植えの場合、植え付け後の根の活動が始まる3月頃に、有機肥料や有機入りの化成肥料を適量与えましょう。
チッソやカリは葉や根の発育に効果的な成分なので、これらを多く含む肥料を利用するのもポイントです。
また、一般的に追肥のタイミングは、花が咲き終わった後と収穫の後ですが、東美濃地方では6月と9〜10月に行います。
速効性の高い化成肥料を、やや少なめの量で与えるのがポイントです。
鉢植えの場合は植え付け後の3月頃に、固形の有機肥料または緩効性肥料を土の表面に置きます(置き肥)。
同じく花が終わった後と収穫の後に固形の速効性肥料を置き肥する流れです。
ただし、適切な肥料の量は品種や土壌によって異なるので注意が必要です。
また、2年目からの休眠期には、堆肥のすき込み(堆肥を加えながら耕すこと)も忘れないようにしましょう。
間隔のポイント
栗の木を複数植える場合、植え付けでは苗木同士の間隔にも気をつけましょう。
苗木をあまり近くに植えすぎてしまうと、生育した時に日光が当たらない部分ができ、枝が枯れてしまいます。
苗木同士の目安の間隔は、5.5m四方に1本。
痩せ地であれば、4.4m四方に1本でも構いません。
植え付け後の管理
植え付けが終わったら、3〜4週間程度で苗木が地面に根づき、芽が出始めます。
上部(穂木)の芽は残し、土台部分から出る台芽は摘み取りを行いましょう。
また、上部の芽が育ってきたら、間引きを行います。
15〜20cmほど間隔をあけつつ、強そうな芽を5本程度残すようにしてください。
※間引き=よく育つ間隔をとるために、間に生えた余分な苗を除去すること
植え付け後には、害虫の有無についても日頃からよく確認し、もし害虫が見られたら早期に対応するようにしましょう。
植え付け後の定期的な整え方
栗の木の栽培にあたって、整枝作業も非常に重要です。
植え付け後に残した5本前後の枝の中でもっとも育ちの良いものは、主幹としてまっすぐに伸ばし、残りの枝については必要に応じて間引きを行います。
主幹、主枝、側枝の区別を明確にするよう、意識すると良いでしょう。
また、植えてから1〜3年目の冬の時期には、新しく伸びた枝の先10cm程度を切り詰め、生育状況に応じて間引きを行います。
43年目以降は枝に花がつくため、先端を切り落とさないようにし、不要な枝だけを間引くようにしましょう。
全体のフォルムとしては、メインとなる枝を3〜5本決めてから、それを骨組みとしてバランスの良い木を作っていくのが理想です。
6年目までは結果母子数を10〜40本に保ちます。
※結果母子:花芽があってもその枝には花をつけず、花芽から次の枝を伸ばして花を咲かせて結実する枝のこと
東美濃地方では、女性や高齢者も作業がしやすくするため、栗の木を低く横に広がるように剪定して仕立てています。
そうすると、実が太陽をたくさん浴びることができるので甘くなるのです。
7〜14年目で主幹をカットする心抜き(芯抜き)を行い、2〜3本を主枝にして結果母子数を60〜70本にし、樹高は3.5m以内にします。
15年以降は生産力が落ちてきたら主枝をカットし、超低樹高栽培(高齢となった栗の主枝を地上から2.5mほどの低い位置で切り落として栽培を行う方法)へ移行する流れです。
収穫・保存方法
栗の実がなったら、裂果して地面に落下したものを拾います。
これが、栗の収穫です。
落下した栗を放置すると、病気や虫などの被害が出やすいため、落ちた栗は早めに収穫しましょう。
栗は他の果物に比べ、保存しやすいのが特徴。
通気性が高く温度が上がらない場所で保存しましょう。
このとき、栗の実は濡らさないよう注意してください。
栗は、4℃程度の環境であれば、かなり長い期間の保存が可能です。
ご家庭では密封容器に入れ、冷蔵庫で保管するのもおすすめです。
栗の収穫後の美味しい食べ方もご紹介
栗は、食事にもお菓子にも、和風にも洋風にも合う、老若男女に愛される食材です。
栗ならではのホクホクとした食感、甘さを楽しむには、「蒸し栗」がおすすめ。
収穫してからすぐに水に浸し、浮かんできた栗は取り除くと、美味しい栗だけが残ります。
この下処理をすることで、栗の皮が柔らかくなって剥きやすくなるメリットもあるんですよ。
そのほか、栗を使った料理には、次のようなものがあります。
- 栗ご飯
- 栗おこわ
- 栗きんとん
- 栗のポタージュ
- 渋皮煮
- 栗羊羹
- 栗まんじゅう
- モンブラン など
「栗の美味しい食べ方は?茹で方・蒸し方、剥くコツもご紹介」でも、栗の選び方から、美味しい栗の食べ方まで詳しくご紹介していますので、参考にしてください。
また、恵那川上屋でも、栗きんとんやモンブランなど、栗を使ったこだわりのスイーツを販売しています。
お取り寄せもできますので、ぜひチェックしてみてくださいね!
栗を植える時期は11〜3月!成長過程に合った適切な管理を
栗にはさまざまな種類がありますが、日本で栽培されているものの多くはニホングリです。
栗の木には幼木期・若木期・成木期・老木期という4つの成長過程がありますが、その管理は、時期に合った方法で行わなければなりません。
栗の木の植え付けは、11〜3月の時期に行います。
その後、適切な間引きや追肥などを行いながら、木の生育を促し、結実を待つことになります。
この生育過程においては、バランスや日当たりを考えた整枝にも力を入れるようにしましょう。
収穫した栗は、環境さえ整えば長期間の保存が可能です。
さまざまな料理やお菓子に使えるため、小分けにして冷蔵庫などに保存しておくと良いでしょう。
岐阜県恵那市の恵那川上屋では、季節の素材を使った創作菓子を中心に、こだわりの栗を使った上質なお菓子もご用意しております。
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こだわりの栗スイーツを、ぜひ一度ご賞味ください。