2021.09.05
栗の主な産地をご紹介!収穫量や世界の栗も比べてみよう
こんにちは!栗きんとん・栗菓子の「恵那川上屋」です。
秋の味覚の代表である栗は、日本だけでなく世界中でスイーツや料理に使用され、多くの人に愛されています。
栗は気候、土壌、降雨量などの栽培条件、品種によって味わいが異なります。
どんな産地で収穫が多いのか、産地ごとにどう味が変わるのかも気になりますよね。
今回は日本でも数多くの場所で栽培されている栗について、栗が多く収穫されている産地や、各地の栗の特徴をご紹介します。
栗の主な産地と収穫量をご紹介!
栗は、日本でも広く生産されており、多くが9月から10月にかけて旬を迎えます。
農林水産省作況調査(令和2年産西洋なし、かき、くりの結果樹面積、収穫量及び出荷量)によると、2020年に全国で収穫された栗の量は計16,900トンで、そのうち13,600トンが出荷されています。
栗の主な産地と収穫量は次の通りです。
<都道府県別の収穫量と出荷量の全国シェア率>
- 1位:茨城県(収穫量3,790トン、シェア率22%)
- 2位:熊本県(収穫量2,430トン、シェア率14%)
- 3位:愛媛県(収穫量1,540トン、シェア率9%)
- 4位:岐阜県(収穫量814トン、シェア率5%)
この4県が、栗の収穫量とシェア率で全国の5割を占めています。
続いて、長野県の収穫量が583トン、埼玉県が579トン、宮崎県が559トンで、3県とも全国のシェア率が3%となっています。
1位である茨城県は、栽培面積・生産量ともに全国1位を誇る栗の産地です。
生産されている品種には、丹沢(たんざわ)、筑波(つくば)、銀寄(ぎんよせ)、大峰(おおみね)、ぽろたん、岸根(がんね)などがあります。
栗の栽培面積日本一の茨城県笠間市では、ブランド力向上を目指して「貯蔵栗」を開発しており、一定期間冷蔵(0℃前後)貯蔵することで、栗の甘みが通常の2~3倍になった甘い栗を味わえます。
2位である熊本県では、とくに山鹿市・山都町・菊池市などで生産が盛んです。
熊本県山鹿市の栗は、西日本一の生産量を誇っています。
生産されている品種には、丹沢、筑波、銀寄、利平(りへい)などがあります。
3位である愛媛県の産地は、主に大洲市・伊予市・城川町などが挙げられます。
昼夜の温度差、降雨量など気候的にも申し分なく、大粒で上品な甘みのある栗が特徴です。生産されている品種には、岸根、筑波、銀寄、大峰、石鎚(いしづち)などがあります。
栗は品種によって、甘みが強いもの、風味が豊かなもの、加工に向いているものなど特徴はさまざまです。
早生(わせ)・中生(なかて)・晩生(おくて)など、成熟期も種類によって異なります。
早生栗の筆頭として8月下旬から収穫される「丹沢」は、まさに秋の訪れを告げる栗といえます。
日本の栗の種類もチェック!それぞれの産地や特徴は?
栗は、日本だけでなく世界中で栽培されており、栽培されている地域ごとに栗の味や特徴が異なります。
多くの国に愛されてる栗の中でも、とくに有名な世界4大栗と、日本の栗の種類を説明します。
世界で有名な栗の特徴
世界中で有名な栗といえば、日本栗(和栗)も含め、西洋栗(ヨーロッパ栗)、中国栗、アメリカ栗の4つです。
世界4大栗と呼ばれるものの、アメリカ栗は現在市場にほとんど出回っていないため、食べられている栗でいうと主に3種となるでしょう。
その理由も含め、4つの栗について特徴をご紹介します。
日本栗(和栗)
原産地は主に日本ですが、一部ユーラシア大陸東部にも自生しているため、日本産以外の日本栗も流通しています。
日本に古くから自生している柴栗(しばぐり)は果実が小さいため、日本栗の主な栽培種は柴栗を品種改良で大きくしたもの。
果実が大きく風味が良いのが特徴です。
日本栗はタンニンが強いため渋皮が剥がれにくいですが、食用部分のあくが少なく水分が多いため、上品な味わいになっています。
「筑波」「伊吹(いぶき)」「国見(くにみ)」「利平」など、野生の柴栗を品種改良したものは100種類ほどあるそうです。
代表的な種類については後ほどご紹介しますね。
西洋栗(ヨーロッパ栗)
原産地は、南東ヨーロッパや西アジアと言われています。
現在ではイタリア、フランス、スペインなども含めヨーロッパ広域で栽培されています。
果実は日本栗よりやや小さく、果肉がしまっていて粘り気が少ないのが特徴です。
果実の周りには堅い皮があり、渋いですが加熱することで簡単にむけます。
病気や害虫に弱く、日本国内ではあまり栽培されていません。
中国栗
主な原産地は中国華北地方です。
日本では甘栗(天津甘栗)の名で知られています。
果実はやや小型で渋皮がむけやすく、果肉はしまっていて割れにくいのが特徴です。
甘みが強く、熱を通すとさらに皮がむけやすくなり、甘みが増すため焼き栗に向いています。
原産地の華北地方は高地で非常に少雨な地域で、高温多湿の環境では育てにくいこともあり、日本ではあまり栽培されていません。
アメリカ栗
別名「アメリカンチェスナット」。
渋皮は剥きやすく、果実は粉質で甘いのが特徴です。
クリ属の中でも香りが優れており、木材としても優れた品種です。
アメリカ栗は、1900年代に胴枯病(どうがれびょう)という病気が蔓延して壊滅的な被害を受け、今ではほとんど市場に出ていません。
アメリカ栗は病気に弱く栽培は困難ですが、病原菌に耐性がある中国栗との交配改良を進めていて、復活を目指しているそうです。
地域によって気候や風土が違うため、同じ品種の栗でも味が変わることもあります。
日本の代表的な栗をさらに詳しく紹介
日本の代表的な栗についても詳しくご紹介します。
ぜひ、選ぶ際の参考にしてくださいね!
銀寄(ぎんよせ)
収穫時期:9月下旬~10月
銀寄は丹波栗の代表的な品種で、江戸時代から栽培されていると言われています。
改良品種の多い丹波栗の中でも、古くから知られています。
主な産地は愛媛県。
次いで熊本県、兵庫県と続き、他にも北海道から九州まで幅広く栽培されています。
見た目は他の栗に比べ、表面は艶があり、どっしりとした扁平な形をしています。
底の部分との境界が太くくっきりしているのが特徴です。
果実は大きく粉質で、加熱すると甘くてホクホクした食感が味わえます。
岸根(がんね)
収穫時期:10月中旬~11月
岸根の発祥の地は山口県と言われており、国の推奨品種に指定されるほど有名です。
平家の落ち武者が自生していた栗の木に穂木を接ぎ木(つぎき)し、近隣の農民に広めたことが起源とされています。
主な産地は山口県、愛媛県、茨城県と続き、市場にはわずかしか流通しないため希少な品種です。
栗の中では最大級の大きさで1個30~40gもあります。
果肉は粉質が強く、まろやかな甘さが特徴です。
丹沢(たんざわ)
収穫時期:8月下旬~9月
丹沢は、乙宗(おとむね)と大正早生(たいしょうわせ)を交配させてできた実生から選抜育成された品種で、「くり農林1号」として農林認定されています。
早生種なので市場に出回る時期は早く、収穫量は筑波栗の次に多いです。
主な産地は熊本県、茨城県、宮崎と続き、全国のシェア率は全体の2割近くを占めます。
見た目は、おにぎり型で艶は少なめ。
裂果(れっか)と呼ばれる縦の筋が多くみられます。
栗の中では粒が大きく、甘みや香りは控えめなのであっさり感が特徴です。
加熱することで栗のホクホクした食感が味わえます。
筑波(つくば)
収穫時期:9月下旬~10月
岸根と芳養玉(はやたま)を交配させてできた実生から選抜育成された品種で、「くり農林3号」として農林認定されています。
国内でも広く栽培され、全体の収穫量の3割ほど!
安定した品質の良さを誇り、多収性に優れた品種です。
主な産地は、熊本県、茨城県、愛媛と続き、数多くの和栗の中でも主要品種となっている栗です。
見た目は、果頂部がやや尖っていて、コロンとした栗らしい形をしています。
果肉は淡黄色で、果肉は粉質で甘みが強く、香り豊かなのが特徴です。
利平(りへい)
収穫時期:9月中旬~10月末
利平も、日本を代表する栗の品種の1つ。
岐阜県山県市の土田氏が日本産の栗と中国栗を掛け合わせて作った品種で、土田家の家号「利平治」から名付けられました。
主な産地は、埼玉県、熊本県、茨城県と続き、東京都でも栽培されています。
見た目はふっくらとした丸い形をしていて、果頂部に産毛がたくさん見られます。
他の栗と比べると色が濃く、深煎りのコーヒー豆のような色をしてるのが特徴です。
ホクホクした食感と甘さが強いため、美味しい栗として人気があり「栗の王様」とも呼ばれています。
栗の美味しい食べ方や保存方法については「代表的な栗の種類は何?それぞれの特徴とおすすめの食べ方」を、ぜひチェックしてみてくださいね。
栗は産地や品種によって味の違いを楽しめる!
世界で栽培されている有名な栗には、日本栗(和栗)、西洋栗(ヨーロッパ栗)、中国栗、アメリカ栗があり、日本で栽培されているほとんどが日本栗です。
早いもので8月中旬から収穫がはじまり、9月~10月頃に最盛期を迎えます。
日本栗の産地は、主に茨城県、熊本県、愛媛県、岐阜県の4県。
収穫量の5割を占めており、品種によって甘みが強いもの、風味が豊かなもの、加工に向いているものなどさまざまな品種があります。
秋の風物詩でもある栗は、栗そのものの美味しさを味わえる焼き栗や、栗の甘みを生かしたモンブランなど、いろいろな味わいを楽しめるのが魅力です。
恵那川上屋でもこだわりの栗を使用した栗のスイーツをお取り寄せできます。
ぜひ一度ご賞味ください!