2024.08.05
川端康成と岐阜県の深い関わりをご紹介!初恋にまつわるスポットも
こんにちは!岐阜県で季節の素材を使った創作菓子を販売する「恵那川上屋」です。
日本人作家として初のノーベル文学賞受賞者である川端康成。
岐阜県は川端康成の文学の原点ともいえる場所なのをご存じでしょうか。
実は、青年時代に初恋をした川端康成は岐阜県に何度も訪れており、その初恋にまつわる内容を小説として書き残し、後の文学へも影響を与えました。
今回は川端康成と岐阜県の関わり、そして川端康成の小説にまつわる岐阜県のスポットをご紹介していきますので、ぜひ読んでみてくださいね!
川端康成と岐阜県との関わりは「初恋」
川端康成と岐阜県と関わりができたのは、冒頭でもお伝えしたように青年時代(22歳頃)です。
代表作「伊豆の踊子」の世界観に影響を与えたともいえる初恋の相手、伊藤初代と川端康成が出会ったのは岐阜県のカフェ・エラン。
岐阜県で逢瀬を重ね、結婚の約束までしていましたが、その恋は悲恋に終わってしまいました。
この初恋を岐阜県の名所と共に綴った作品には『南方の火』『篝火(かがりび)』『非常』『霰(あられ)』 『彼女の盛装』『新晴(しんせい)』などがあり、それぞれ短編として川端康成全集・川端康成初恋小説集に収録されています。
なかでも『篝火』は、伊藤初代を訪ねて結婚を承諾してもらった、忘れがたい1日を元に書いたとされる思い入れの深い作品です。
岐阜県の寺に預けられている少女みち子の元に、修学旅行と嘘をついてプロポーズをするために訪れ、結婚を約束をした後に篝火に照らされたみち子の美しさに驚くという、実話そのものなエピソードが描かれています。
この『篝火』とは、岐阜県の伝統行事「長良川の鵜飼(うかい)」で、鵜匠(うしょう)が水鳥の鵜を手縄で操って川魚を捕える際に用いる灯りのこと。
長良川右岸の宿から篝火を眺めながら、みち子に向けてこんな美しい言葉が語られます。
『私は篝火をあかあかと抱いてゐる。焔の映つたみち子の顔をちらちら見てゐる。こんなに美しい顔はみち子の一生に二度とあるまい』
後ほど詳しくご紹介しますが、岐阜県の「長良川河畔 ポケットパーク名水」には篝火の像が建てられています。
また、没後50年の2022年には篝火の貴重な草稿が発見されたとしてニュースになり、広く知られていなかった川端康成と岐阜県のつながりが、近年密かに注目を集めています。
川端康成に関する岐阜県のスポットを巡ろう!
初恋の相手である伊藤初代に会いに訪れた川端康成が訪れた場所、そして小説に出てくる場所はどこなのか、気になりますよね。
また、小説を読んだ後、あるいは読みながら、その舞台を訪れるのはとても感慨深く、印象に残る体験です。
川端康成に関するスポットや行事についてご紹介しますので、ぜひ訪れてみてくださいね!
西方寺(さいほうじ)
岐阜市加納新本町にある西方寺は、川端康成の初恋にまつわる主要な場所。
初恋の相手である伊藤初代が養女として1年余り身を寄せていたお寺で、小説『篝火』では「澄願寺」という名前で登場しています。
当時、川端康成は伊藤初代に会いに2回にわたって西方寺を訪れており、住職から昼食をごちそうになったり、一緒に碁を打ったりもしていたそう。
『篝火』の冒頭に「岐阜名産の雨傘と提灯を作る家の多い田舎町の澄願寺には、門がなかった」という文章がありますが、当時の西方寺は第二次世界大戦で焼けてしまい、現在の本堂は1955年に建てられたため、門はある状態です。
小さなお地蔵様が連なる落ち着いた雰囲気のお寺では、春は桜、夏頃には数種類の蓮の花、秋には黄金に輝くイチョウなど、四季ごとの景色も楽しめます。
名和昆虫博物館
小説『篝火』の中で触れられている、岐阜市大宮町の岐阜公園。
その岐阜公園内にある「名和昆虫博物館」は、小説『新晴』の中にも登場しています。
また、川端康成自身も長良川畔へ行った後に金華山を眺め、岐阜公園まで引き返して名和昆虫博物館を見学したという話も残されています。
「名和昆虫博物館」は、日本に現存する昆虫博物館の中で最も長い歴史があり、文化的価値の高い建物であることも見どころの一つ。
名和昆虫博物館は国の登録有形文化財、隣接する記念昆虫館は岐阜市の重要文化財に指定されています。
収蔵標本は約12,000種もあり、世界中で有名なチョウやカブトムシ・クワガタのほか、歩く宝石といわれるカブリモドや世界最大のセミなどの珍しい虫も多く展示されています。
岐阜市近郊を中心に野外で見られるチョウも展示しており、なかでも名和昆虫研究所の設立者が発見した「ギフチョウ」は春の女神とも呼ばれる美しいチョウです。
昆虫の展示の仕方も素晴らしいですが、「関西建築界の父」とも呼ばれる建築家・武田五一が設計を担当した洋風建築も魅力満載なので、ぜひ一度訪れてみてくださいね!
岐阜県の伝統行事「長良川の鵜飼」
「長良川の鵜飼」とは、岐阜県を流れる長良川で、鵜匠が手縄で操った鵜を使って川魚を捕まえる1300年以上の歴史を持つ伝統漁法です。
小説『篝火』では、長良川の鵜飼の篝火に照らされたみち子に見惚れるシーンが登場しますが、川端康成と伊藤初代が実際に見たときは雨でほとんど見れなかったといわれています。
長良川の鵜飼では、赤々と焚かれた篝火が暗闇に浮かび上がり、炎が長良川の水面に映り込む様子も美しく、小説に書きたくなるのがわかるほど幻想的な光景です。
まるで、昔にタイムスリップしたかのような不思議な体験ができます。
岐阜県に訪れた際にはぜひ見ていただきたい、おすすめの伝統行事です。
この長良川の鵜飼は、毎年5月11日から10月15日まで、鵜飼休み(例年9月か10月の1日間)と増水などで鵜飼が中止になる日を除いて毎日開催しています。
※情報は変更されることもあるため、公式ホームページもご確認ください
長良川河畔 ポケットパーク名水の『篝火』の像
先にも少し触れた、岐阜市湊町「長良川温泉 ポケットパーク名水」にある『篝火』の像。
「長良川温泉 ホテルパーク」から鵜飼観覧船乗り場に行く途中にあり、川端康成の生誕110年と、小説『篝火』が発表されて85年を記念して建立されました。
当時の若き川端康成と伊藤初代が並ぶ姿を見ることができ、隣には松尾芭蕉の有名な句「おもしろうて やがて悲しき鵜飼かな」の碑もあります。
また、近くには川端康成文学碑も建てられています。
この公園は長良川と金華山を見渡せる休憩スポットでもあり、古い町並みのある川原町も近く、観光地の散策がてら訪れることができるのも魅力です。
また、夏には鵜飼の始まりを告げる打ち上げ花火が見られるスポットでもあります。
長良川の魅力については「岐阜県長良川周辺の観光のおすすめは?魅力や見どころを紹介!」も参考に読んでみてくださいね。
加納天満宮
小説『篝火』の中で出てくる加納天満宮は、学問の神様「菅原道真公」をお祀りしている神社です。
学問のパワースポットとしても有名で、合格祈願の御祈祷も行っています。
例祭で使用される、からくり人形が活躍する高さ5mもの山車「鞍馬車(くらましゃ)」は岐阜市の有形文化財にもなっています。
岐阜県には神社やお寺が多数あり、パワースポットと呼ばれる場所も多いです。
「岐阜県の人気パワースポットをご紹介!その理由や見どころもチェック」でもご紹介していますので、ついでに訪れてみてはいかがでしょうか。
岐阜県でぜひ川端康成の初恋を巡る旅を!
岐阜県に住む少女・伊藤初代に初恋をし、岐阜県の情景も交えたその恋のエピソードを小説にしていた川端康成。
その初恋は悲恋となってしまいましたが、川端康成の文学に大きな影響を与えました。
岐阜県の描写が出てくる短編小説には、ご紹介した『南方の火』『篝火(かがりび)』『非常』『霰(あられ)』 『彼女の盛装』『新晴(しんせい)』などがあります。
今回いくつか川端康成に関するスポットや行事をご紹介しましたが、小説を片手にぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
岐阜県には、名産品の栗を使ったお菓子や、季節の素材を使った創作菓子を販売する恵那川上屋もあります。
岐阜県のお土産としてもおすすめですが、店舗によってはイートインスペースもありますので、ぜひ散策がてら訪れてみてくださいね!